Kagurazaka is one of the few districts in Tokyo that best retains historic townscape. The project was a renovation of a big warehouse of books located on top of Kagurazaka hill, for which we created a public space like a ground, together with a café and a shop.
We opened the house toward the street, and connected its first floor with the crossing using an organic-shaped wooden staircase, which expands just like earth. The stairs diverge in the middle, and one leads up to the second floor. We connected the town and the warehouse, the ground and the architecture, the past and the present.
新潮社は昭和40年に、本を収納するための鉄骨造、波板スレート貼りの簡易な倉庫を建てた。流通システムが変わって、倉庫が不要となり、リノベーションの設計を依頼された。オペレーションは、NY在住のサザビーの鈴木さんチームにゆだねられ、1Fにカフェと物販、2Fに新潮社ならではの作家トークのスペースが配された。la kaguのkaguとは、このあたりにフランス人が多く住んでいて、一種、東京のカルチェフランス化していることにちなんでの、フランス語の定冠詞laと神楽坂の組み合わせ。
はじめて倉庫をたずねて、波板スレートの汚れたテクスチャーと、本の専用タナの、即物的ぶっとさ、天井の鉄骨のアヤトリのような細さとが気に入った。当時の日本は、手間賃があって、材料費が相対的に高かったから、こんな繊細な構造が、「たかが倉庫」でも実現した。今だったら、H鋼をバンバン置くだけの無骨なものになっていたに違いない。
一番気を使ったのは、オーガニックな形状を持つ大階段で、これによって、大地と倉庫がつながれた。建築家がやれることは、何かと何かをつなぐことで、それさえうまくいけば、自動的に、ある種のケミストリーが、新しい世界を作る。階段の形状も、既存の地面の勾配をフォローして、2階まで「大地」をのばしレクチャーホールを街につなげ、そうやってできたトポグラフィ自体が、結果として一種の象徴性を獲得した。